PBM ‐「記憶」に残る、伝説のゲームを「記録」にするプロジェクト

日本PBMアーカイブス

事業概要

設立趣旨

日本PBMアーカイブス設立の言葉

 いまから30年以上前の1988年。神奈川県相模大野で設立されたゲーム会社「遊演体」は、インターネットという概念が出てくる前に、「大規模コミュニケーションエンターテイメントを実現しよう」と『ネットゲーム‘88』というゲームを作り出しました。

 数百人から数千のプレイヤーが1つの仮想世界でRPGをするこのゲームは、当初は「ネットゲーム」と呼ばれていましたが、後の電子ネットワークを使ったゲームとは区別されるようになり、「Play by Mail(PBM)」と呼称されるようになります。やりとりの手段こそ郵便でしたが、その根本は後のMMORPGの包含すらも目指した壮大なもので、熱狂的なファンを獲得しました。

 最初は参加者も少なく、またゲーム運営もお世辞にもスムーズなものとはいえませんでしたが、1990年には第2弾となる『蓬莱学園の冒険!』の運営が開始され、南洋の巨大学園というその世界観は多くのファンを獲得。ライトノベルからTRPG、ファミコンゲームまで多くの関連商品が作られました。

 また同年には、日本で2番目のPBM会社として「ホビー・データ」が神奈川県横浜市に設立。『クレギオン#1 遥かなるアーケイディア』が、遊演体が行ってきたものとは違った形で、PBMの可能性を開くシナリオ形態でのゲームが開始されました。同一世界を使ったクレギオンは、以降も長くPBMゲーム世界として運用され、多くのファンを集めると同時に、沢山のクリエイターがここから巣立っていきました。

 その後、当時のRPGブームにも後押しされる形で、多くのPBM会社が設立されました。郵便だった媒体は、通信技術の発展とともに、Eメールを使用したPBeM、インターネットを活用したPBWへとゲームシステムは進化を続け、PBM出身のクリエイターが大規模オンラインゲームの制作などにも関わるようになりました。

 しかし時間の経過とともに、インターネット時代以前のPBMを知る人も少なくなり、ネット活用の草創期でもあったため、多くのクリエイターの最初の仕事がPBMという業界情勢であったにも関わらず、Wikipediaといったネット上にも情報が残らず、ゲームの実態が忘れされているのが、昨今の状況でもあります。

 そんな中、2017年末に電ファミにおいて掲載された記事は多くのアクセスを集めました。

【ゲームの企画書】リアルを舞台に数千人規模でゲーム…そんなのは約30年前に存在した! 「蓬萊学園」狂気の1年を今こそ語りあおう【新城カズマ×齊藤陽介×中津宗一郎 】

 本年30周年を迎えた『蓬莱学園の冒険!』『クレギオン#1 遥かなるアーケイディア』から始める形で、PBMという一時代を記したゲーム資料の散逸を防ぐためのアーカイブを作ろうというのが、本組織の目的です。

 2020年誰も予想していなかった新型コロナの影響などにより、30周年の活動開始に遅延がありましたが、まずはかつての遊演体・ホビーデータ両社の協力を得るところから、日本でのPBMからのアーカイブの構築を目指していきたいと思います。

 微力ではありますが、なにとぞご協力のほど、よろしくお願いいたします。

日本PBMアーカイブス賛同者
中津宗一郎 遊演体/ホビー・データ/M2
新城カズマ 遊演体/エルスウェア
宮崎紀和 M2/セイラン舎
小泉雅也 遊演体
曲直瀬一洋
2020年12月31日時点

事業案内

特定非営利活動法人日本PBMアーカイブスでは、以下の事業活動を行ないます。

この法人は、広く一般市民を対象として、紙と筆記用具を使った、あるいは電子的な機器等を使った、参加者のアイデアが大きく反映されるPBM(PlayByMail)ゲーム文化(以下「PBMゲーム」と称する)に関する知識・経験の集積、集積された知識・経験の公開・電子書籍出版・書籍出版、PBMゲームに関する講演会等の開催することで、ネットに関する過去のトラブルの知見を広く伝えてトラブル予防に生かし、将来的にネットに関するトラブルがいまよりもより抑制された社会の実現を目指すことを目的とする。

 1)PBMゲーム文化に関する知識・経験をデータベース化してホームページ上で公開する事業
 2)PBMゲーム文化に関する研究および学際的な研究内容についてホームページや会場等を利用して発表し、文化を継承していくための講演事業
 3)PBMゲーム文化に関する研究成果をまとめた資料の企画・出版事業
 4)PBMゲームに関する団体の運営または活動に関する連絡および調整、助言または援助の事業
 5)ホームページ等への広告掲載事業(その他事業に属する)

事業報告

令和4年度事業報告・発表予定

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